5/9、inyouの1st CDとなる両A面シングル 『rain falling to the sea at night/asea』 が発売になりました。
inyou YouTubeチャンネルにて、この2楽曲の背景となるストーリー付きの映像作品を本日5/17、公開いたします。
———————————————–
音楽制作には「曲先」「詞先」というものがあります。
inyouの場合、楽曲に歌詞があるということが稀であるため、
否が応でも「曲先」という制作方法をとっていそうなものなのですが、
厳密にいうとそれは違っています。
少しその制作の過程についてお話をさせてください。
inyouが楽曲制作に取り掛かるにあたって、まず最初に背景となるストーリーが作成されます。
それは、あの日みた思い出の風景であったり、あるニュースであったり、
身近な日常であったり、忘れられない感情であったり、残しておきたい想いであったり、
様々なものからインスピレーションを受けて出来上がった「物語」です。
まずそのストーリーをメンバー全員で共有します。
3人のイメージに齟齬が出ないよう、そのストーリーから導き出されるキーワードや連想したもの
(色やにおいや質感や温度などといったもの)を思いつくままに羅列していくこともあります。
そんな作業の中で、曖昧だったものが鮮明になったり、さらにストーリーが広がったり、ということも多々あります。
この共有の作業が終わってはじめて、音を出すことになります。
ストーリーが、それぞれの脳から手へ、そして楽器へと伝わり、曲が生まれていきます。
ストーリーの細部のひとつひとつが音となり、メロディーとなり、ハーモニーとなり、展開がうまれ、ひとつの曲が完成します。
ストーリーをしっかりと共有できているか、
そしてそのストーリーを音にして表現できているか。
この2点を常に考え、突き詰めていくわけです。
しかしながら、そこにもうひとつ大切なことがあります。
突き詰めて突き詰めてそうして出来上がった、この音で紡がれた物語は、決して限定的な物語ではありません。
決して「限定された誰かの」物語ではないのです。
聴いていただいた方それぞれの中に生まれる「ストーリー」
それもまた含めて、音楽として存在していたいのです。
これは心に鍵をかけて忘れていたあの想いだ。
言葉にできない今のこの感情だ。
夢にみるあの景色だ。
会ったこともない、でも確かに世界に存在するであろうあの人の気持ちだ。
私たちの曲を聴いて、そんなそれぞれの「ストーリー」を感じていただけたなら、こんなに嬉しいことはありません。
私たちの曲に「ただひとつの解釈」は存在しません。
それはつまり、”inyou”のバンド名が表す、(biography)
“私の音楽でもあり貴方の音楽でもある、また誰かの音楽でもある 私たちの音楽” なのです。
1st CDを発売するにあたって、初の試みに挑戦することにしました。
私たちが共有していたストーリーを、映像作品としてinyouのYouTubeチャンネルで公開いたします。
ストーリーを公開することで、限定的なイメージを与えてしまう恐れについても考えました。
しかしながら、こうして映像作品にしてみることで、
広がるものがある、生まれる物語があるということを感じることができました。
是非、このストーリー付きの『rain falling to the sea at night』『asea』2作品の映像作品を、
inyou YouTubeチャンネルにてご覧ください。
そこからあなたの「ストーリー」が生まれることを願っています。
よろしければその「ストーリー」を、ご感想というかたちでお聞かせください。
2015.5.17 inyou